飯田 敦夫(京都大学大学院医学研究科 グローバルCOE特定研究員)

2012年8月22日水曜日

【全然】京都大学アカデミックデイ【準備できてねえよ】

いつもケツカッチンでバイヤー(〆切りギリギリで準備が苦しい)な飯田です。
こんにちは。

今回は無謀にも、9月2日に京都大学アカデミックデイという一般公開イベントで研究紹介をします。







































飯田は『ポスター前で立ち話「ポスター対話」』という形式で『魚を使って体の仕組みを探る』というタイトルの紹介をします。
内容は、実のところまだ白紙です。
これからどうにかA0ポスター2枚分のコンテンツを考えなきゃいけません。
当日まで残すは10日余り、ケツカッチンでバイヤーです。

ポスターだけじゃなく、小道具も持っていって良いということなので、実際に研究で使っている魚と、使っていない魚を持っていこうかと思っています。
遺伝子組換えゼブラフィッシュは持っていけないので、2つ前のエントリーで紹介したスケスケ金魚あたりを持っていこうとかと画策しています。
で、今、ペットショップに取り寄せてもらっているところです。

あまり堅苦しい話をするつもりは無いので、関西近傍に在住の方はぜひ足を運んでみて下さい。
他にも魅力的なポスターがたくさんあります。
一つの発表をひいきするわけではないですが、生物系の人間としては同じポスター対話の『滋賀県立虎姫高等学校「カスミサンショウウオの生態を探る」』に興味津々です。

まあ、そんなわけで気楽に散歩がてら寄って頂けたら幸いです。

飯田でした。

2012年8月20日月曜日

渋川マリン水族館【市立玉野海洋博物館】

"達人"渋川剛気とは無関係だと思います。飯田です。

ということで、ちょっと出かけたついでにその土地の水族館に行ってきました。
渋川マリン水族館(別名:市立玉野海洋博物館)です。
基本は水族館なので、海水浴ついでのファミリーや子供達が水槽内の生体を楽しむ作りになっています。

飯田が一番好きなメバル(ボケーっと中層に漂う姿がカワイイ)や、




















断面が意外にゴワゴワしているヒトデなどがいました。




















そんなお子様向きの水族館にひとつ目を引く、夏休み限定の特別展示が・・・。

























マリンサイエンス?光る?これって専門分野じゃね??
ということで、詳しく見てみると、

やっぱりあった!『発光』と『蛍光』の違いを説明しています。

























「それなら自分だって去年のやさしい科学技術セミナーで同じこと紹介してるよ!」という、妙な親近感を覚えました。























そんな渋川マリン水族館の特別展示は光る生き物だけでなくて、可視光の特性による保護色の紹介などがありました。
これは、去年のセミナーでは取り上げていないので少し紹介します。

さて、

下の写真の魚、目立ちますか?それとも、目立たないですか?




















多くの人は「目立つ」という意見をもつと思います。
しかしこれ、彼らの生活している環境では保護色なのです。目立たないのです。

水族館に展示してあった説明は以下になります。






























飯田が説明するとすれば、以下のようなイラストを使います。






























驚くべき事に、我々が生活して魚を見ている明るい場所(水槽の中や、海の浅いところ)では赤(派手)に見える魚でも、本来彼らが生活している深い海には赤い波長の光が届かないため、周りの生き物にとっては赤い(目立つ色の)魚には見えてはいないのです。

つまり、深い場所でも到達できる他の色に比べ、赤い色は保護色として作用するらしいのです。

我々(ヒト)が見えている世界と同じものが、全ての動物に見えているわけでない、というわけです。

実のところ「小規模で子供向けだな〜」と最初に控えめな建物を見てテンション下げちゃったわけですが、そこでこんなに科学的な展示に出会えるとは思っていなかったので、ついつい嬉しくてブログで紹介してしまいました。

もしよければ足を運んでみて下さい。
岡山県玉野市の渋川マリン水族館です。


--話題転換--


実は、これ以外にも魚の剥製が素晴らしく、飯田は目と心を奪われてきました。

ミノカサゴ



















ニシキエビ



















タイ



















ホウボウ




















写真で紹介した以外にも、本当にステキな剥製や標本がたくさんありました。

地元の人間には「名前だけじゃなくて中身も(よくない意味で)"渋い"よ。」と言われていたのですが、いやいやなかなかどうして(よい意味で)"渋い"じゃないか。

これからも出張に行くときは、旅先でアクセス可能な水族館を事前に調べて、とにかくマイナーでも小規模でもしらみつぶしに足を運んで『思わぬ掘り出し物』を探すことを続けていこうと思います。

飯田でした。

2012年8月6日月曜日

【後輩の】スケスケ金魚【facebook】

こんにちは。
8月最初の更新です。飯田です。

先日、何気なくfacebookでタイムラインを眺めていたら、ひとつ気になるものが。























拡大します。




















聡明な研究ブログ読者のみなさんなら2秒でお気づきでしょう?
そう、先日のエントリーで紹介した透明ゼブラフィッシュの金魚版です。




















え?2秒で気付きませんでした??
それはおそらく魚への愛情が足りないのです。要精進です(笑)
とまあ、職業病的なアレはさておき、これは大変興味深いと飯田は思います。

透明ゼブラフィッシュは、神経堤細胞(neural crest cells)という、色素細胞を作るために必要な細胞に異常が起こっている変異体です。
厳密に言えば、神経堤細胞で重要な働きをする遺伝子(仮に”A”とします)に異常があります。
神経堤細胞で遺伝子”A”が働くことは体表の色素細胞を作ることに必要ですが、眼を黒くするための色素上皮は他の細胞に由来することが分かっています。
なので、この透明ゼブラフィッシュは体からは色が失われますが、眼は黒のままという状態です。




















では、透明金魚では何が起こっているのでしょうか?
もしかするとゼブラフィッシュと同じ遺伝子”A”が壊れていて、神経堤細胞から色素細胞が作れないのかも知れません。
しかし、同じ様な働きをしている別の遺伝子"B"に異常があって、結果的に同じ透明になっているのかも知れません。
しかし、金魚が透明になっている原因を調べる上では、ゼブラフィッシュで分かっている『神経堤細胞』と『遺伝子"A"』というキーワードがとても役に立ちます。

今回は金魚の体の色に関する事柄ですが、これがもし他の生物の、もっと人の役に立ちそうな機能(マグロで大トロ部分を増やす遺伝子とか)を調べたいと思った時に、ゼブラフィッシュなどの実験動物で参考になる情報があったら便利だと思いませんか?
これが、実験動物を使ってからだの仕組みを調べて、その情報を蓄えることの、大きな目的のひとつです。


----[話題転換]----

以上の話の中で「色素がなくなるのか。じゃあアルビノ(白化)だな!」と思った人はいますでしょうか?
『透明ゼブラフィッシュ=アルビノ』は広い意味では間違っていませんが、厳密にはベツモノと考えてください。

一般的な認識としてアルビノとは、以下のような感じです(メダカの場合)。



















魚以外でイメージする場合は、白毛に赤目のウサギさんを思い浮かべて下さい。














先ほど、透明ゼブラフィッシュは「眼は黒いまま」と紹介しました。
それは神経堤細胞が眼の黒化には関与しないからです。
では、アルビノはなぜ眼からも黒色がなくなる(血の色で赤くなる)のでしょう?

答えは『黒色色素(メラニン)そのものが無いから』です。
例えばメダカのアルビノだと、チロシナーゼというメラニンを作るための酵素が壊れています。
黒色自体を作れないので、体表だろうが眼だろうが黒化できないというわけです。

では、生物種を問わずに「体が白い&目が赤い」のがアルビノなのでしょうか?
答えは『NO』です。


----[話題転換]----

ヒトやウサギなどの哺乳類は、色素細胞といえばメラニン(黒色)の一種類しか作ることができません。
ところが、魚は黒の他に”黄”、”白”、”虹(光沢)”の色素細胞を作ることができます。
つまり厳密には、魚類のメラニン欠損は「白化」ではないのです。
”黄”、”白”、”虹”は残っているのです。
メダカだとピンとこないので、ゼブラフィッシュのアルビノの写真を下に示します。













”白”と”虹”は分かりにくいですが、”黄”の要素がメダカよりも強いので、黒系の色を欠くとオレンジ色っぽくなります。
では、金魚ではどうでしょう?

以下のURLにアルビノの金魚の写真があります(飯田はアルビノ金魚を持っていない)。



金魚(赤色種)はさらに黒色の要素が少なく、黄系の要素が強いので、黒を欠くアルビノであってもぱっと見分かりません。
ただし、眼の黒色はメラニンに依存しているので、目が赤色で、奇しくも体表と同じような色になっています。


----[まとめます]----

なかなか長くなってきちゃったので、そろそろまとめましょう。
一言に『体の色が無くなる突然変異』と言っても、
・色が無くなる原因にも色々あります(神経堤細胞、メラニン合成)
・ヒトとサカナだと持っている色素細胞の種類が違います(哺乳類1種類<魚類4種類)
・なのでサカナの場合『アルビノ=白化』とは限りません
という、後輩のfacebookをきっかけにこれだけのことを連想/妄想していました。

もし皆さんの身近で『透明=体が白くて目が黒い』や『アルビノ=体に黒色がなくて目が赤い』生き物が出現したら飯田までご一報ください。
その他にも”面白い生き物”の情報を待ってます!

飯田でした。